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BEAT CAST

Daiki

ロジカルとエモーショナルの間を行き来して、占いというツールを活用する。

2021.02.05

Photo:Yutaro Tagawa / Text:Rio Hirai

“占い師”と聞くと、どんな人を思い浮かべるだろう。薄暗い照明の元、謎のベールに姿を包んだ怪しげな……、なんてまだそんなイメージを持っているならば、Daikiさんがそれを打ち破るだろう。現れたのは、ファッショナブルな金髪がよく似合う快活な男性。システムエンジニアやコンサルタントとしての経験なども生かしながら、経営者や個人事業主に向けて占星術をベースにしたセッションを展開している。アメリカなど海外では学問としても開かれている“占い”を、ツールとしてもっと活用して欲しいという彼に、今の時代に合った付き合い方を聞いた。

占星術的なタイムラインは、経営者や個人事業主の励みにもなる。

「占い師」として開業する前は、システムエンジニアやコンサルタントとして働いていたそうですが、どういう経緯で占いを始めたのでしょうか?

Daiki

幼少期から歴史や古代文明が好きで、タロットカードに惹かれていました。でも思春期を迎える頃にはなんとなく「占いを信じるなんてダサい」というムードが蔓延して、ちょっと心が離れていたんですね。高校卒業後はブリティッシュコロンビア大学(カナダ)とヴェクショー大学(スウェーデン)に留学し、マネージメントとマーケティングを専攻。帰国後は、システムエンジニアとして連結会計コンサルティングソフトウェア会社に就職しました。高層ビルの上層階にあるオフィスに勤めていたのですが、そこで東日本大震災を経験するんです。死を身近に感じた時に「今のままで良いのか」という思いが頭をよぎり、自分を見つめ直すきっかけになりました。

その1年後に退社し、バックパッカーとしてアジアを旅しました。漠然と人を癒すことに興味が湧き、タイのワットポー寺院の境内に開設されているスクールでマッサージを学びます。でも全く知らない人の体に触れるのに自分は抵抗があると気が付いて、マッサージの道に進むことはなく……。でもこの時の経験は、占いの道へ進むきっかけになっていると思います。

一度は心が離れていた占いに、また取り組むことになるきっかけは何だったのですか?

Daiki

ちょうどその頃、幼少期に興味があったタロットのことを思い出して『こころの図像学』(鏡リュウジ/河出書房新社)という本を手に取ったんです。学術的、文化的な文脈で“占い”について解説している内容で、「そんな解釈があるのか」と目から鱗が落ちました。それまで興味を持っても踏み込めなかった原因である「あまりに感覚的過ぎないか」、「男性が取り組むことが不自然じゃないか」という懸念が解消されて、自分の中でスッと腑に落ちたんです。さらに、タロットよりも占星術の方がよりロジカルで自分に合っているなと考え、アメリカの教育機関のオンラインコースを受講して、本格的に占星術を学び始めました。

アメリカでは、教育機関で占星術を教えているんですね。

Daiki

そうなんです。きちんとした教育機関でカリキュラムが組まれていて、修士号が取れる大学もあったりします。その時は占い師として開業した後にどう収益化するかまで綿密に計算していたわけではないのですが、職業として成立するであろうという目算はありましたね。自分自身が経営を学んでいた経験から、経営的な視点では割り切れない直感的な判断が必要とされる時に占星術の視点が役に立つのではないかと漠然としたイメージが持てていたんです。

実際に、クライアントとはどんなやりとりをするのでしょうか?

Daiki

まずファーストセッションでは、生年月日と生まれた時間と場所を元に、星を読みます。星の位置はデータベース化されているので、数字を入力するとその人の星の配置を確認することができるんです。それを元に、その人の生まれ持った性質や今後の流れを読み取っていきます。私はそれを文章にまとめてお渡ししています。

占いと一言で言っても、星の位置から読み取った内容について様々な伝え方があると思いますが、Daikiさんが大切にしているのはどんなことですか?

Daiki

“タイムライン”と“行動”です。経営者のクライアントとやりとりをしていく中で改めて感じたのですが、「この日までに行動を起こすと良い」、「今は苦しい期間だけれど、これくらいの時期には楽になる」というタイムラインが明確になると、それが励みになり、行動を促すきっかけになります。その目安に沿って、たまにお尻を叩くようなことも言う。だって、ただずっと占い続けて、その間に何も行動しなかったらお金と時間が勿体無いじゃないですか。僕としては、それでも全然構わないんですけどね(笑)。

経営コンサルタントの経験があるからこその、良心的な対応ですね。自分自身で開業されて、心境はどう変化しましたか?

Daiki

自分がやりたいことを仕事にしているので、随分とストレスは軽減しましたね。頑張り次第が結果も変わるので、やりがいがあります。お金だけがモチベーションのまま働いていたら、いくらたくさんお金が手に入ってもいつまでも満足することがなく、ストレス発散のために散在してしまっていたと思います。今の仕事のやりがいは、自分のクライアントが結果を出してくれること。それが、自分にとっての自信にも直結しますから。

占いやクレアボヤントは、自分を客観視し、問い直すのに役立つ力。

これからの時代に、“占い”はどう役立たせることができると思いますか?

Daiki

“風の時代”という占星術的なキーワードが、ここまで広まったのにも驚いています。でもそれも、風の時代のエッセンスなんですよね。昔の人は占星術を、天との会話として捉えていました。星を見て自分自身の位置を確認する、問答の要素があったんですね。自分自身を違う角度から見てみる、改めて発見するという側面は、これからの時代さらに必要な技術になるのではないかと思います。一方、まだ日本では文化として根付いていないからこそ、一般的に波及していないミステリアスな部分を逆手にとってうやむやなビジネスをしようとしている人がいるのも事実なので、そこはきちんと線引きしてやっていきたいと思っています。

なるほど。とてもロジカルに占星術を選択されている一方で、クレアボヤント(透視)も学ばれているそうですが、どうして興味を持ったんですか?

Daiki

アメリカのバークレーにある、半世紀に渡る歴史を持つ学校でクレアボヤントを学びました。占星術は自分にとっては、とてもロジカルで、クレアボヤントは感覚的なもの。僕自身ロジカルなことが好きではありますが、ずっとそればかりだと頭が固まってしまうんじゃないかとも思ったんです。だから対極にあるものを学ぶことで、バランスを取りたかった。クレアボヤントでは、瞑想を通じて感情をリセットする方法も学ぶので、例えば嫌なことがあった時の対処法も身につけられるんです。だから感覚的ではあるけれど、身につけられれば効率をアップすることもできると考えました。

これから先、例えば5年後のご自身の目標や挑戦したいことはありますか?

Daiki

日本でも占いをもっと学術的、文化的に浸透させたいですね。海外では学問として認知されている占星術でも、日本では「占い行ってるの? 大丈夫? 騙されてない?」って心配されたりするじゃないですか。“占い師”という肩書きも、まだ職業として認知に歪みがある気がしています。例えば、職業欄に書きづらいという精神的な足枷を自分自身がまだ感じるんです。私が鏡リュウジさんの本を読んで理解が変わったように、もっと日本に広く伝わるべき海外の書籍もあると思っているので、いつか翻訳にも挑戦してみたいですね。

BE AT TOKYOにはどんなことを期待していますか?

Daiki

占いのエッセンスを、ファッションやカルチャーに落とし込んでいきたいと思っているので、何かプロダクトも一緒に作ってみたいですね。日本ではお守りを持ち歩く習慣はあっても、占星術的なアイテムはまだ浸透していない。私自身、ジャラジャラしたパワーストーンはあまり好みではないので、取り入れやすく、身に付けることで気持ちが明るくなるようなアイテムを作りたいです。占いを生活に楽しく取り入れられたら良いですよね。

ASTROLOGER

Daiki

国際基督教大学卒業。在学中に、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)、ヴェクショー大学(スウェーデン)に留学。帰国後、システムエンジニアの経験を経てアメリカワシントン州にある占星術教育機関、ケプラーカレッジにて占星術を学ぶ。その後、カリフォルニア州にある透視教育機関、バークレーサイキックインスティチュートにてクレアボヤント(透視)の教育を受ける。現在は、経営者や個人事業主にむけて占星術を活用したセッションを展開する。

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次の東京を創造していく表現者にスポットを当てたインタビューコンテンツ。