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BEAT CAST

Yackle

ヨーヨーと音楽のクロスオーバーでカルチャーをMIX。マルチな活躍を続けるYackleの挑戦。

2021.11.05

Photo:Cho Ongo / Text:Shogo Komatsu

あらゆるシーンで台頭し始めたZ世代。そのフレッシュで柔軟な感性はシーン全体に刺激を与え、新たな潮流を生む。今回フォーカスするYuuki Yamaguchiもそのひとり。Yackle名義のソロプロジェクトで、DJ・プロデューサー・オーガナイザーとして10代から名を馳せ、アジア大会「SWAG2017」で3位に輝いたヨーヨープレイヤーとしての顔も持つ。そんな次世代のキーマンである彼は、何から影響を受け、何を目指すのか。話を聞くと、BE AT TOKYOと共鳴する姿勢が浮かんできた。

小学生の頃に聴いたエレクトロに衝撃を受けた。

特に男性は、子どもの頃にハイパーヨーヨーで遊んでいた人も多いと思います。競技用ヨーヨーは何か違うんですか?

Yackle

ざっくり言えば、大きな違いはありません。ただ、スペックが高かったり、プラスチックじゃなくてチタンやステンレスのものもあったりします。価格も数万円が相場です。

Yackleさんがヨーヨーと出会ったのはいつですか?

Yackle

小学生の頃にあったハイパーヨーヨーの第3期ブームでハマって、大会に出場するようになりました。ヨーヨーを通じて世界中に知り合いが増えたので、世代も言語も関係なくコミュニケーションを取れて友達になれるツールだと思います。

使っているヨーヨーは?

Yackle

これはヨーヨー世界チャンピオンの鈴木裕之さんがプロデュースするブランドのFRESHTHINGSと僕がコラボレーションしたものです。鹿やお寺など、地元の奈良らしいデザインを取り入れています。そして、裏のQRコードを読み取ると、僕の楽曲をダウンロードできるようになっているんです。

ヨーヨーと音楽がリンクしていますね。音楽に目覚めたのもヨーヨーがきっかけだとか?

Yackle

そうなんです。ヨーヨーの大会は、ダンスのコンテストのように、プレイヤー自ら選曲した音楽に合わせてパフォーマンスをします。ヨーヨーにハマり始めた小学生の時に大会の動画を観ていたら、m-floさんやCAPSULEさん、大沢伸一さんとかの楽曲がよく使われていました。それまで音楽は、何気なくJ-POPを聴いていたくらいだったので、エレクトロがかなり衝撃的でどんどんのめり込んでいって。そして僕も大会に出場するようになったんですけど、当時日本の大会での予選は著作権フリーの音源しか使えないんですよ。それでもって他の人が使っていない曲を探した結果、インターネットレーベルに辿り着きました。MALTINE RECORDSやTREKKIE TRAXの楽曲をよく使っていて、その頃に音楽をディグることを身につけました。

小学生からエレクトロにハマるのは早いですね。ヨーヨーの大会において音楽は大事ですか?

Yackle

技術的な採点や芸術的な評価があって、その中にリズムやテンポなどの音楽に関連した審査項目もあるので、音楽は大事な要素です。

本当にダンスと似ていますね。DJとして活動するようになったきっかけは?

Yackle

DJの原点は、10歳の頃にやった簡単な曲の編集です。ヨーヨーのパフォーマンスに規定時間があるので、2曲を1曲に繋いだり、憧れのプレイヤーと同じ編集をしたりして練習していました。音楽をディグっていく中でSkrillexやDiploのDJを観ていたら、おもしろそう、やってみたいっていう好奇心が湧いてきたんですよ。DJって何をするかも分かっていませんでしたけどね。中学1年生の時、クリスマスプレゼントにNumarkのPC DJを買ってもらって、手探りで練習していました。

では、自身で楽曲を制作するようになった経緯は?

Yackle

中3の時にiPhoneを買ってもらったら、GarageBandというアプリが入っていて、使ってみたら簡単な曲を作れて感動したんですよ。何も分かっていませんでしたが、自分でいろんな音を操れることがおもしろくて、感覚だけで作っていました。とにかく、いびつでも1曲を作れたことが楽しかった。それがヨーヨーと似ていると思うんです。ヨーヨーって練習した分、技ができるようになっていく。最初は一切技ができないけど、徐々にできるようになっていく成長が楽しくて、それと同じ感覚でした。高校に入ってからはAbleton Liveを使って、本格的に楽曲を制作するようになりました。

当時からジャンルは変わっていませんか?

Yackle

そうですね。エレクトロやテクノ、ハウスから聴き始めて、トラップやベースミュージックも聴いていたので、いろんなジャンルの要素を取り入れた曲をGarageBandで作っていました。今とそこまでスタイルは変わっていません。

そんなYackleさんにとってのヒーローは?

Yackle

音楽制作で一番影響を受けたのは、中田ヤスタカさんと今年亡くなってしまったsophie。安室奈美恵さんやマドンナに曲を提供していたプロデューサーです。初めて聴いた時、なんやこの曲は? というインパクトが大きかったです。僕もsophieみたいに個性のあるトラックを作っていきたいと思っています。

できることは、全部自分でやりたい。

アーティストと共作した作品は、Feat.Yackleと表記されていますよね。フィーチャリングと明記することにこだわっているんですか?

Yackle

アーティスト側に問題ないなら、フィーチャリングとして入れてもらうようにしています。数年前まで、トラックメイカーやプロデューサーはアーティストとして認識されていなかった部分がありますよね。でも僕は、アーティストとして少しでも前に出たいと思っています。だから、自分のDJの途中でブースの前に出て、ヨーヨーのパフォーマンスをすることもあります。聴覚だけじゃなく、視覚でも楽しんでもらえたらいいなと思いまして。

DJのプレイ中にヨーヨーのパフォーマンスがあったら盛り上がりそうですね。そのパフォーマンスの練習もしなきゃいけないから大変そう。

Yackle

その時のパフォーマンスは即興なんです。知らない曲でもある程度聴けばタイミングや展開が分かるので、それに合わせてパフォーマンスしています。

即興はすごいですね!

Yackle

ヨーヨーは即興でパフォーマンスできるのが魅力のひとつだと思います。2019年に渋谷のclubasiaで、フリースタイルスポーツのイベントを主催しました。ヨーヨーやけん玉、バスケやフットボールなど、フリースタイルでパフォーマンスをする音楽のイベントです。ヘッドライナーにm-floの☆Taku Takahashiさんを招いて、DJ中にいろんなジャンルのパフォーマーが登場するステージにしました。フリースタイルでセッションするのが楽しかったです。

裏方だけで活躍するのではなく、ご自身も表現者としてパフォーマンスしているんですね。

Yackle

昔から、できることは自分でやりたいタイプ。だから、イベントの主催を始めました。

デイイベント「合法」は高校生の頃から主催していますよね。

Yackle

まだ未成年だったので出演できるイベントが少なくて、アーティストの先輩であるSeihoさんに相談したら「自分でやっちゃえば?」と。それをきっかけに、高校1年生の時に初めてデイイベント「合法」を主催しました。自分も出演できるし、好みの内容にできるからおもしろかったです。イチから作り上げていくのが好きなんですよ。

高校生で数百人を動員するイベントを主催するのはすごいです。大変なことも多かったのでは?

Yackle

開催に向けて準備する中、つらいってことは一切なく、全部が楽しかったです。ブッキングが決まらなくて不安だったこともあったけど、決まった喜びのほうがが大きかったです。今考えたら、よくこんな連絡でブッキングを受けてくれたな、って思うくらい何も分かっていませんでした。でも、回数を重ねて、いろいろと学べたからよかったです。

「合法」は、ラッパーやアイドルなどが出演するジャンルレスなラインナップが魅力のひとつかと思います。

Yackle

僕がいろんなジャンルの音楽を通ってきたので、ジャンルレスなイベントにしました。ゴチャつくと思うかもしれませんが、タイムテーブルさえしっかりしていれば全体がまとまるんですよ。波のある流れにしたいと思っているので、タイムテーブルを決めてからブッキングさせていただくことが多いです。

「合法」の出演者もそうですが、楽曲でコラボレーションするアーティストも幅広いですよね。アルバムの作りもイベントと似ている気がします。

Yackle

カルチャーMIXが好きなので、それが1stアルバム『FRANK THROW』からも感じられると思います。ひとつのイベントを作る感覚でアーティストに声を掛けさせていただきました。

さまざまなジャンルがクロスオーバーしていると、知らなかったアーティストを知れるからいいですよね。

Yackle

SNSでその声が届いています。僕の好きなアーティストをみんなに知ってもらえるのが嬉しいから、それがモチベーションのひとつになっています。

思い出に残っているイベントはありますか?

Yackle

高3の時、大阪の名村乗船場跡地でイベントを開催したんですけど、ヘッドライナーに中田ヤスタカさんが決まった瞬間は、授業中なのに興奮して声が出るほどでした。ずっと憧れの存在だったので嬉しかったです。実は小学校の卒業文集に、将来は音楽でご飯を食べていきたいと書いていて。CAPSELUが好きだったので、自分のCDをヤスタカさんに渡すのが夢って書いていたんですよ。

その夢を早々に実現できたわけですね。音楽を仕事にすることを本気で決心したのは、高校生の時ですか?

Yackle

高校生のうちからDJや楽曲制作のお仕事をいただいていたり、高3で夢のひとつが叶ったので、大学進学も考えましたが、自分にプレッシャーを掛ける意味も込めて、音楽を中心にやっていこうと決めました。自分の思いをきちんと話したら親も納得してくれて嬉しかったです。今はフリーランスとして、ひとりですべてをこなしています。

挑戦を続けて生み出す、新たなカルチャー。

今も地元である奈良を拠点にしているんですよね?

Yackle

はい。コロナ禍となって減りましたが、以前は月に2、3回東京に来ていました。東京に来るとスイッチが入るから、1日に3件も4件も予定を詰め込んでいます。その期間に集中して仕事できるのが自分のペースに合っているし、奈良では制作だけに没頭できるから、東京が拠点じゃなくても不便を感じません。

息抜きするタイミングは、地元にいる時ですか?

Yackle

ずっと息抜きしていますけどね(笑)。僕、さまざまなお仕事をさせて頂くことがあるのですが、しんどいと感じることがないんです。好きなことを仕事にさせてもらっているので、負担に感じたことはありません。

イベントの準備を苦に感じていないのと同じですね。

Yackle

例えばイベントで、予算オーバーして赤字になっちゃっても、それ以上に自分にとってプラスになることが多いので、マイナスは何事も将来のための自己投資と考えています。だからこれからも、どんどん挑戦していきたいです。「合法」も挑戦が続いていました。2周年は、僕の高校生活最後だったので、大阪と東京と沖縄の3カ所で開催しました。そして3周年は10代最後ということで、もっと新しいことに挑みたくて。10代のうちに海外でイベントを開催している人がいないから、韓国で開催しました。

海外での開催はハードルが高いですが、どうでしたか?

Yackle

韓国で活動するDJ/プロデューサーのNight Tempoにサポートしてもらい、日本からアーティストと一緒に行きました。日本と雰囲気が違って楽しかったし、日本人も旅行感覚で韓国まで来てくれて嬉しかったです。その3周年は東京、韓国、沖縄、大阪と毎週ツアーをしまして、アメ村のWEGOとコラボしたイベント「超WE合法」も開催しました。

奈良を拠点にしつつ、イベントの開催は日本各地から海外まで。そんなYackleさんにとって東京はどんな街ですか?

Yackle

シンプルに人が多いですよね。だからこそ、カルチャーが生まれるきっかけになっていると思います。しかも、時代にコミットした新しいカルチャー。カルチャーMIXも起こりやすいと思います。

12月に、BE AT STUDIO HARAJUKUでイベントを開催していただく予定だと伺っています。それもまた、カルチャーMIXがテーマなんですよね?

Yackle

「AXEL YO-YO CUP」というヨーヨーのイベントですが、GOMESSさん、ビートボックスクルーSARUKANIのKAJIくんがライブをして下さります。そしてm-floの☆Taku Takahashiさんが、ヨーヨーのコンテストで音楽の審査をしてくれることが決まりました。ヨーヨー仲間でスタイリストをしている友達がdinoworksというアパレルブランドをしているのでそのポップアップも。おもしろいカルチャーMIXになると思います。

それは楽しみです! さまざまな表現者が混ざり合うところがYackleさんとBE AT TOKYOに共通する部分かと思います。

Yackle

自分と感性が合う人だけじゃなくて、何かしらやっている人はジャンルに関係なく素敵だと思うので、いろんな人と話してみたいです。それが自分の刺激になって、音楽にもイベントにも落とし込めますからね。BE AT STUDIO HARAJUKUでは、展示も販売もイベント開催もしているコミュニティスペースだから、刺激を受けています。

ご自身で新しいカルチャーを生み出したいという気持ちはありますか?

Yackle

その気持ちが強いです。ほとんどの人はヨーヨーを知っていると思いますが、競技に関しては知らない人が多い。それを音楽やファッションなどの身近なものと繋げて、より認知度を上げつつ、おもしろいカルチャーだと興味を持ってくれる人が増えればいいなと思っています。

Yackleさんは世界での活動を見据えていますよね。そのために今すべきことは?

Yackle

僕は、短期間の目標を立てることが多いです。長期的に考えると、音楽でご飯を食べていたいと大雑把な目標になりますが、それはずっと変わっていません。死ぬまでに、何をどうしていくかを短期的に考えていて、少しずつクリアしていっている感じ。10代のうちに韓国でイベントを開催したのは大きな経験なので、とりあえず今の目標としては、もう少し世の中が落ち着いたら他の国でもイベントをやりたいです。そして、アメリカや中国など海外でも、僕の活動をおもしろいと思ってもらえる機会を作っていけたらいいなと思っています。

YO-YO PLAYER / DJ / EVENT ORGANIZER

Yackle

2000年生まれ。奈良県出身。ヨーヨーをきっかけに10歳でエレクトロに出会い、2013年からDJとしての活動をスタート。2015年から作曲を始め、2019年には初のフルアルバム『FRANK THROW』をリリース。また、「合法」や「00motion」、「AXEL YO-YO CUP」など音楽やヨーヨーのイベントもオーガナイズしている。Live Set/DJでのイベント出演やイベント主催に加えて、ラジオ、書物、Webメディア等の方面でもマルチに活動している。

Instagram:@yackle_yyy(https://www.instagram.com/yackle_yyy/

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次の東京を創造していく表現者にスポットを当てたインタビューコンテンツ。