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BEAT CAST

RUKA, AYAKA FUKAI

RUKAとフカイ アヤカ。動きはじめた若き才能。

2022.04.29

Photo:Shinsaku Yasujima / Text:Keisuke Kimura

ネットとSNSのおかげで、なにかを始めることはずっと簡単になった。住んでいる場所も、これまでのキャリアも関係ない。「いいものはいい」と評価される時代。逆に言うと、競争相手は増え、そこから抜きん出るのはとても難しくなった。ファッションの世界もそう。そのなかで、着実にフォロワーを増やしているブランドが「Tento」と「Newtral」。今回は4月29日から「BE AT STUDIO HARAJUKU」でPOP UPが始まる両ブランドのデザイナーにインタビュー。緊張と初々しさを垣間見せながら、それぞれの想いを、ていねいな言葉で紡いでくれた。

ファッションへの目覚め。

左:フカイ アヤカ 右:RUKA

フカイ

取材とか、はじめてで。

RUKA

ね。しゃべれるかわかんない(笑)。

いつも通りの感じで、お願いします(笑)。この場所(東京・神南「MORTAR」)をインタビュー場所に指定いただきましたが、2人にとってどんな場所なんですか?

RUKA

私がスタッフの方たちと仲が良くて、仕事終わりにスケボーしに来たりしていて。たまり場にさせてもらってます。

フカイ

私は住まいが大阪なので、東京に遊びに来たときに、友達に会うために来る場所って感じです。

お二人の関係というのは?

RUKA

いつ会ったんだっけ?

フカイ

私が東京に出て来るようになってからだから、1年前くらいだよね。ちょうど渋谷の古着屋「i&i」で「Tento」と取り扱ってもらうことになって、そこでRUKAちゃんと繋がって。

仕事上の付き合いはまだないですか?

フカイ

去年の12月のイベントでPOP UP SHOPをやったときに、コラボしました。あっ、そのときのアイテムを持ってくるの忘れちゃった……。

全然、問題ないです(笑)。まずはRUKAさんに質問です。自身のファッションやRUKAさんのブランド「Newtral」のアイテムもそうですが、西海岸の雰囲気をすごく感じます。その感覚はどこで育まれたんでしょうか?

RUKA

両親がずっとサーフィンをやっていて、よく行く海では大会が開催されていて、小さいときから大きいスケートランプにも連れて行かれたし、周りの大人がみんな横ノリの人たちで。それと家でかかる音楽も、両親のファッションも、そういうカルチャーだらけだったんです。

なかでも、その文化に傾倒したきっかけって覚えていますか?

RUKA

いろいろあるんですけど、母が若いときに着ていた「STUSSY」の服や、当時履いてたスニーカーは“ヤバイ!”って感じになりました。それこそ勝手に着たりしていて(笑)。

フカイさんのファッション原体験も教えていただきたいです。

フカイ

私の地元は大阪の南にある泉州というエリアで。その辺って、カルチャーが妙に詰まった場所なんです。小学校のときからみんなビーチクルーザーに乗ってるような。ラッパーもスケーターも多くて。

小学校でビーチクルーザー! ママチャリなどではなく?

フカイ

みんな小さいときから、ビーチクルーザーを与えられているみたいな感じです(笑)。ピストに乗っているJKとかもいますよ(笑)。たぶん、お父さん世代がそういうカルチャーが好きで、それが自然と子供にも受け継がれているというか。そんな環境下で育ったのは大きいですね。

RUKA

TENくん(TEN’s UNIQUE)とかもそう?

フカイ

そうそう。

RUKA

ちょっと行ってみたいよね。

フカイ

小学生も「NewEra®」のキャップ被ってスケートするみたいな感じが普通なんです。

自身のブランドのことと、海外での衝撃。

RUKAさんがやられている「Newtral」は、いつからスタートされたんですか?

RUKA

2021年からです。それ以前は2年半くらい、原宿でアパレル店員をやっていたんですけど、接客よりも、自分で何かを発信したくなって。

いまはどういうものを作られているんでしょうか?

RUKA

正直、全然お金がないから、いまは既存のボディにシルクスクリーンで伝えたいことをプリントしたTシャツとかをつくってます。

コンセプトなどがあれば、教えてください。

RUKA

ニュートラルって中立性って意味なんですけど、本当のスペルはNeutral。だけど、私のブランドの場合はそこに「新しい」を意味する「New」を入れて「Newtral」にしています。アメ車の旧車が昔から好きで、そこともブランド名を絡めたかったんです。あと、小さい頃から割とメンズライクなものが好きで、「女の子っぽくしなさい」って言われるのがすごく嫌だった。なので、女の子も男の子も関係なく、男らしいも女らしいもない、そういうカテゴリーは全部要らないっていう意味もあったりします。誰かが決めた「らしい」より自分が大事にしてる「らしい」を伝えられたら嬉しいです。

フカイさんの「Tento」は、どんな経緯でスタートされたんですか?

フカイ

高校を卒業してから大阪の「ビームス」でアルバイトしてたんですけど、ニューヨークへの留学を機に退職したんです。それが2020年の3月。で、入学先も決まって、ビザもとって、行けたは行けたんですけど、コロナでいきなりオンライン授業で(笑)。しかもロックダウンしていたから、家から出られず……。そこから3ヵ月、ニューヨークにはいたんですけど、状況が良くなる目処が経たないから帰国することに。帰ってきてからもすぐ仕事が見つかるはずもなく、そんな折に趣味で編み物をはじめたんですけど、インスタに何気なくアップしたら取り扱うよと言ってくれた人がいて。

ある種、貴重な体験をされたんですね。ブランド名の由来はキャンプが好きだからとかですか?

フカイ

全然です(笑)。急に取り扱いが決まって、慌てて決めて。それが2020年の12月くらいです。

コンセプトがあれば教えてください。

フカイ

逆に、ブランドのコンセプトを作りたくなかったんです。そのときに作りたいものを作りたい。なので、いまはニットのアイテムが多いんですけど、数年後はまったく違うことをしているかもしれません。〇〇系って決めつけられたくないんです。アイテムとしていいものを作っていれば、きっとどんなスタイルにもはまると思っています。

RUKAさんに影響を与えたという、LAのサウスセントラルの日常を描いた映画『Friday』。

フカイさんはニューヨークに行っていましたけど、RUKAさんも今年、海外へ行かれていましたよね。

RUKA

3月にロサンゼルスへ2週間行っていました。それが初めての西海岸で。

いかがでしたか?

RUKA

ずっと映像や本で見ていた世界だったので、本場感はありました。それと、やっぱりみんな自我がはっきりしてるなって。女の人が車を運転しているときに、前の車にフ○ックサインしてたりして。そういう小さいことが、いろいろ刺激になりましたね。

フカイさんもニューヨークに行ってましたが、そこで感じたことはありますか?

フカイ

ずっとハーレム地区のゲストハウスにいて、加えてロックダウンもあったので、治安が本当に悪くて。なので、日本の平和さとかを考えましたね。ただ、やっぱりその体験がなかったら、ブランドははじまっていなかったので、思い切りは楽しめなかったですけど、結果的に悪くなかったなって。

RUKAさんの思い出の一枚。ロサンゼルスにあるハンバーガー屋の駐車場で食事をしていたときに、突然現れたボロボロの「カマロ」。旧車好きのRUKAさんならでは。

フカイさんの思い出の一枚は、ニューヨークのクラブで撮ったもの。アレックス・オルソンをはじめとしたレジェンドスケーターたちと一緒に。ちなみにこの時、フカイさんは彼らが誰かわからず撮影し、後日レジェンドたちだったと知る。

ふたつのブランドが目指す先。

ブランドをはじめて間もない二人ですが、なにか、手応えのようなものは感じていますか?

RUKA

「Newtral」は基本的にオンラインでの販売なので、誰が買ってくれているかわかるんです。で、自分より若い子が買ってくれていたり、あったかいDMとかも届いたりして。それだけでうれしいんですけど、北海道からわざわざポップアップに来てくれる子もいて。もう、なんかウルウルします、本当に(笑)。それと、SNSのポストを見ていたりすると、伝えたいことが、ちゃんと伝わってるなと感じられることがあるんです。それを見たときも、いつも鳥肌が立つくらいうれしくて。

フカイさんはいかがですか?

フカイ

どんどん広がっていっている感覚みたいなものがあって、例えばオレンジさん(SIGHTO ディレクター)も谷さん(IMA:ZINE ディレクター)も、同じ大阪でまったく違う系統だけど、その2人が私のブランドを取り扱ってくれて、繋がってく、みたいなのはうれしくて。もっと、そういうポジティブな繋がりが、「Tento」を通して増えていけばなと思っています。

4月29日から「BE AT STUDIO HARAJUKU」で開催されるPOP UPでは、どういうものを販売するんでしょうか?

RUKA

ロサンゼルスで見つけてきたスラックスに刺繍をして、販売する予定です。

フカイ

私は帽子とバッグです。

帽子はどのくらいで編めるものなんですか?

フカイ

デザインが決まってしまえば、ひとつにつき、2、3時間くらいですかね。オリジナルのパターンなので、形を考えるのに時間がかかりますね。

バッグは2WAYになっていて、ストラップに埋め込まれたドローコードを引けばトートバッグにもなる。素材はポリ混の特殊な糸を使用。

帽子はサイズの展開も豊富。自分仕様に形をカスタマイズできるのも魅力。

RUKA

あやかちゃんが編んでいるのを見たことがあって、もうめっちゃ早いんですよね。

フカイ

かと言って、8時間で4個作れるわけでもなくて。集中力が続かなくて。

ポップアップでは、お二人とも店頭に立たれるんですよね。

RUKA

はい! 二人とも毎日いる予定です。

フカイ

ぜひ遊びに来ていただけたらうれしいです。

最後に、今後の目標を聞かせてください。

RUKA

まずは展示会をやることが目標です。もっと先の目標でいうと、「無印良品」とか「ロサンゼルス・アパレル」みたいな、シンプルで、形がよくて、なんにでも合わせられるものを作っていきたいなって。ブランドのタグラインにも「Back to Basics」と書いていて、考え方も、ファッションも、もっとシンプルにしていけたらと思っています。

フカイ

コレクションとか、かっこいいことはできないから、自分のペースで遊べるお金を稼いで、海外でポップアップをやりたい。行きたいところに、仕事で行きたいです(笑)。

Newtral Director

RUKA

1998年生まれ、東京出身。文化服装学院を卒業後、ショップスタッフを経て、自身のブランド「Newtral」を立ち上げる。現在は東京・代官山にある「BUY ME STAND」で週4で働きながら、空いた時間でデザインに没頭する日々。
https://www.instagram.com/_newtral/
https://www.instagram.com/whenisaywtf/

Tento Directror

フカイ アヤカ

1997年生まれ、大阪出身。高校卒業後「ビームス」にてアルバイトをスタート。2020年に退職し、ニューヨークへ留学。帰国後に「Tento」を立ち上げる。現在も拠点を大阪に構え、東京と大阪を行ったり来たり。
https://www.instagram.com/fukai_ayaka/
https://www.instagra.com/tento_jp/

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次の東京を創造していく表現者にスポットを当てたインタビューコンテンツ。