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BE AT STUDIO HARAJUKU ARCHIVES

2022.10.29(土)-11.13(日)

デジタル骨董展 ーこれからの価値と所有を考える

2022.10.18

『NFTアートは100年後の「骨董」になりうるか?』

『デジタル骨董』というなんとも不思議な言葉が浮かんだのは、昨今のNFTアート市場の動向を横目に見ながら、「100年後には画像データをあたかも骨董品のように愛でているのかもしれない」と思ったことがきっかけだった。従来、「物理的な所有が可能か」という点において、対極に位置していた骨董品とデジタルアート。しかし近年、ブロックチェーン技術の発達に伴い、コピーが容易なデジタルデータに対して唯一無二な資産的価値を付与する「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」が社会実装され、デジタルアートは「いつ、誰が」所有してきたかを明確に証明することが可能となった。

これは、愛好家によって代々継承されることで価値が形成されてきた「骨董」とデジタルアートも同じ土俵に立てることを意味しているのではないか。だとすれば、日々生み出される無数の画像データですらも、未来の骨董品になりうるのかもしれない。とはいえ、千利休や豊臣秀吉が生きた時代には、一国一城の価値があるとも讃えられた「茶器」などと比べて、「画像データ」は果たして本当に同様の価値を生み出すのだろうか。時代の潮流によって一時的に高騰しているとも見えるNFTアートの市場は果たして、本当に価値あるモノとして未来へ継承されるのか?

本展は、これからの「価値」と「所有」が果たしてどこへ向かうのかを考察する展覧会である。これまで、モノの価値がどのように変化してきたかの歴史を振り返りながら、NFTによるデジタルデータの「希少性の担保」と 「所有者の明確化」が可能となった現代を時代の境目と捉える。本展示で問いかけるのは、「価値とは何か?」という人類の営みの本質である。

【展覧会概要】
デジタル骨董展
ーこれからの価値と所有を考えるー
展示期間:2022.10.29(土)-11.13(日)
営業時間:11:00~20:00
会場:BE AT STUDIO HARAJUKU(ラフォーレ原宿6F)
https://be-at-tokyo.com/projects/beatstudio
入場料:無料
主催:BE AT TOKYO
企画プロデュース:有國恵介(BE AT TOKYO/FLOWPLATEAUX)
企画・編集:桜井祐(TISSUE Inc.)、塚田有那(一般社団法人Whole Universe)
監修:鞍田崇(哲学者)、加藤明洋(アーティスト・エンジニア)
協力:吉田真一郎(近世麻布研究所)
空間デザイン:赤羽伸哉
アートディレクター:畑ユリエ

出展作品

<NFT>
exonemo《Metaverse Petshop》 
加藤明洋《Wan Nyan Wars》
HUMAN AWESOME ERROR《民主的工藝》
藤幡正樹《Brave New Commons》 
高尾俊介《Generativemasks》

exonemo《Metaverse Petshop》Supported by NowHere|NFT advisor Toshi / wildmouse

加藤明洋《Wan Nyan Wars》

Human Awesome Error《民主的工藝》


藤幡正樹《Brave New Commons》 

高尾俊介《Generativemasks》

<骨董>

「襤褸」(イメージ)
※実際の展示物とは異なります

「白南京金継ぎ」

展示構成

[1] Introduction なぜ価値と所有なのか? 
NFTアートの潮流を見つめる上で、モノを通じた「価値」と「所有」という概念にフォーカスを当て、来場者に問いを投げかける。

[2] Chronology 価値と所有の年表|骨董とNFT
千利休らの「数寄の時代」から青山二郎らが提唱した「骨董の時代」。そしていま
勃興する「NFTの時代」という3つの軸から、価値観や所有感がどのように変遷していったかを年表でたどる。

[3]Analyzation モノが価値を持つとは?
骨董が価値を持つようになった構造を分析し、5つのキーワードで分析。同時にそれらキーワードを象徴するような作品を「骨董」と「NFT」の両者から紹介する。

[4] Question これからの価値と所有とは?
NFTの興隆とともに、デジタルアート・デジタル世界において「価値」や「所有」の概念は変わりうるのか、100年後の「価値」を示唆する作品を通じて鑑賞者に問いかける。

NEWS

高尾俊介氏の出展作品として、3Dプリント版 Generativemasksが展示されることが決まりました。
3Dプリント版 Generativemasksが展示されるのは、日本初となります。
「Generativemasks」は、日々気軽にビジュアルコーディングを行う「デイリーコーディング」という活動の延長で、高尾氏が制作している作品で、発売してから2時間あまりで1万個を完売し、大きな話題となりました。また、それらの売上はジェネラティブアートに関連する団体や企業に対して寄付を行った他、一般財団法人ジェネラティブ・アート振興財団を設立し、ジェネラティブ・アートの普及活動に資金を活用しています。
さらに、Generativemasksはp5.jsというコードをベースとした作品であることから、そのアルゴリズムをベースに3D版のGenerativemasksの制作にも成功しております。なお、この3D版のGenerativemasksはアーティストであるAyumu Nagamatsuが制作しました。また、通常盤のNFT保有者向けに3D版がエアドロップされたことでも話題です。

Metaverse Petshop 情報

Metaverse Petshop』は、『GEMINI EXHIBITION:デバッグの情景』(ANB Tokyo, 2022年10月14日〜25日)でも出展。
展示会の主催は、あらゆる境界を越えミラーワールドの共創を目指すラボラトリー「GEMINI Laboratory」
https://gemin1.xyz/
『GEMINI EXHIBITION:デバッグの情景』における『Metaverse Petshop』| 人間は境界線上で翻弄される──エキソニモ『GEMINI EXHIBITION:デバッグの情景』アーティストインタビュー02
https://gemin1.xyz/20221014-prototype_exonemo/

監修者プロフィール

骨董監修

鞍田崇(哲学者)

1970年兵庫県生まれ。1994年、京都大学文学部哲学科卒業。2000年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)、専門は哲学、環境人文学・日本学術振興会特別研究員、総合地球環境学研究所(地球研)特任准教授等を経て、2014年より現職。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイン・農業・民俗など様々なジャンルを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。

NFT監修

加藤明洋(アーティスト・エンジニア)

1992年愛知県生
まれ。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現研究科修士課程修了。デジタル/フィジカルメディアの組み合わせにより、テクノロジーと社会の関係を描く作品を制作している。作品に、ブロックチェーン技術を応用した社会の可能性と課題をボードゲームを通して描いた「TRUSTLESS LIFE」「BAIS」、犬派と猫派の戦いを描いてNFTの価値を問うプロジェクト「WAN NYAN WARS」などがある。

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