TOKYO LOCALS
目黒区 / MEGURO
祐天寺の好きなところ vol.2
© 2020 BE AT TOKYO.
BE AT STUDIO HARAJUKU ARCHIVES
DONGURIZU
2021.10.19
今も昔も、原宿を代表するカルチャーのひとつである“古着”。ときに、誰かにとっては役割を果たした洋服が、めぐりめぐって別の誰かには価値ある一着になる。その循環はBE AT TOKYOの掲げる「発掘・掛け算・物語」に奇しくも呼応する。そこで我々は、新プロジェクト「illmatic sense」を立ち上げた。毎回異なるゲストを招き、異なるテーマで買い付けた古着を販売。古着の“今”を多角的に紐解いていこうというものだ。 第2弾のゲストは、群馬県桐生市を拠点に音楽活動を行う「どんぐりず」。と、その仲間たち。中学時代からの友人である4人が、この日はホームタウンを飛び出し、東京に。場所は変われど、普段集まって遊ぶのとなんら変わらないムードと掛け合いで、セレクトした古着や好きなものについて自由に話してもらった。
ー
今日は、どんぐりずのお二人に加えて、友人であるヒロトさん、モジャさんも古着のセレクトから参加していただきました。みなさん、桐生の出身ということですよね?
ヒロト
そうです。森と俺が同学年、チョモとモジャは1個上で。学年は違いますが、みんな同じ中学校に通っていたのがはじまりで、今でも地元でよく遊んでいます。
森
ヒロトは映像とか撮ってて、どんぐりずのMVもいくつかやってもらってるんですよ。
チョモ
モジャは服好きで、この企画の話をしたら「行きたい!」って。それで来てもらいました。いつも一緒に遊んでるおなじみのメンバーですね。
ー
4人で桐生の古着屋を回ることも?
森
俺とヒロトは高校時代にけっこう一緒に古着屋行ってたっすけど、この4人でっていうのは、ないよね。
チョモ
俺は、今日の格好を見てもらうとわかるように、正直自分で洋服のこと考えたことはないんですよね……。
森
まじタンスのなか全部もらいモンだもんね(笑)。
チョモ
服に対してこだわりがないので、普段、森からお下がりをもらったり。ステージ衣装も森に言われるがままです。今日もこないだワークマンで買ったスケシューで行こうとしたら、彼女に「履き替えなさい!」って怒られました(笑)。
ー
なるほど(笑)。森さんはこの企画への出演オファーが来たとき、率直にどんな感想を持ちましたか?
森
楽しそうだなと思いましたよ。桐生にはいろんな古着屋があって、高校生の頃からもう3、4年は回ってますからね。よく行くところが常に2、3店あって。そんな感じで古着が好きだから、選ばれたのは嬉しいかぎりです。
ー
今、若い世代の多くが下北沢に流れていたり、古着の急速な盛り上がりを感じています。桐生でも同じような空気感はありますか?
森
たしかに10代はかなり増えてますよ。店でいうと、内田商店みたいないわゆるヴィンテージものを中心に集めたところより、90'sとか2000年代はじめのレギュラー古着を扱う店が増えてますね。
ー
古着屋を回る以外では、普段どんな風に洋服へのアンテナを張っていますか? おそらく高校時代なんかは、地元の先輩たちから教えてもらうこともあったと思いますが。
森
全然関係ない話していいっすか?(笑)。俺、マーティン・ローズが好きで、最近結構ネットで探してたんです。で、いろいろ見てたら、こないだラクマにニセモノ出品してるヤツがいて、俺詰めてやったんすよ。「実際の写真見せてください」って。そしたら、いや、今は無理です……みたいな!「じゃあタグ見せてください」って食い下がったら、楽天から拾ってきた画像が送られてきて……。こいつヤバいなって思いました。……で、何の話でしたっけ?(笑)。
ー
ファッションの情報源についてです(笑)。つまりはオンラインフリマなんかも、情報源のひとつということですか?
森
ケンドリック・ラマーだったり、好きなラッパーが着ている服は気になりますね。その流れで調べてみたりとか。シンプルにインスタとか見てて、「この服かっこいいな」とかも結構多いですよ。
ー
ファッション誌を読んだりもしますか?
森
しないっすね。字がめちゃくちゃ苦手なんです。もちろん、友達の家とかにあったりすれば読みますけど。立ち読みもします。無料視聴しかしてない(笑)。
ー
映画も音楽も、何でも無料で視聴できちゃう時代ですからね。
モジャ
雑誌は、チョモが一番読むんじゃない?
チョモ
音楽特集に限ってですけど。雑誌の話でいうと、こないだ『SOUND & RECORDING』の取材をどんぐりずで受けたんですよ。面白いのは、“ミュージック&リスニング”でも“グルーブ&ダンシング”でもなく、“サウンドとレコーディング”ですからね……(笑)。かなり専門的な雑誌で、インタビューもレコーディングの話とかしかしないんですけど、それが結構面白かった。「こいつら何話してんだ!?」って思われるでしょうけど(笑)。
森
あれムズイよな〜。
チョモ
まぁ、それは置いといて。僕は音楽特集の号であれば、例えば『POPEYE』を買うことはあります。アーティストのスタジオの感じとか、住んでる街の雰囲気とか。その辺の空気感を音と照らし合わせるのが好きなんです。この環境で育ったらこんな音楽が生まれるのか、みたいな。部屋とか服とか住んでる街が、音楽にも出るものだと思ってて。それを自分と重ね合わせるのも楽しいですね。
ー
音楽性の背景としての洋服なら、チョモさんも興味があると。
チョモ
そうですね。でも、洋服っていうモノを、鏡の前にいる自分に重ねることはどうしても難しい(笑)。
森
めちゃくちゃ面白いよな(笑)。
チョモ
縫製とか形とか素材とか、服自体が持ってるいろいろな特性を、自分に合わせなきゃいけないっていうところでつまづいちゃうんです。モノとして眺めるのはいいけど、それを着るとなると、できない。
ー
自分自身もある種のモノとして捉えるなら?
チョモ
そしたら、俺は自分を買い替えたくてしょうがなくて……(笑)。でも、周りの友達がこうしてみんな服好きだから、素直にぶつかれるところもあります。「これはダサい」、「これいいんじゃない?」とか、気兼ねなく話せるから。友達に感謝ですね。
ー
勝手知ったる仲で、それでも今日は初めて4人で古着を掘るという経験だったわけですが、セレクトを終えてみていかがでしたか?
森
めっちゃ疲れたっす(笑)。これまで自分に似合う服しか選んだことなかったですから。基本、自分のことしか考えてないからなー(笑)。
ヒロト
ああいった倉庫に入るのも初めてだったので、普段行く古着屋に並んでる洋服が、いかに厳選されたものなのかがわかりました。買い付けってこんなに難しいのかって!
森
たしかに、古着屋すげ〜!って思いましたね。
ー
あの倉庫には、いわゆるヴィンテージやレギュラー古着と呼ばれる洋服はほんのひと握り。状態もまばらな中から選ぶのは、かなり骨の折れる作業だったと思います。ありふれた価値基準の外から選ばなければならないという意味では、ともすれば普通の古着買い付けよりもはるかに難しかったのではないかと。そんななか、セレクトする、しないの判断はどのように?
森
俺はいつも古着を選ぶとき、シルエットとカラーリング、あとは例えば「自分の持ってるパンツに合うか」とかを見るんですけど、今回はそのどれかひとつでも満たしてるものがあればセレクトしました。ばっちり90'sのレギュラーみたいなのを探そうと思って来ましたけど、途中で切り替えたっすね。
モジャ
チョモはけっこうお土産Tを選んでたよね。ハワイのとか、このオバマTとか(笑)。
チョモ
「OUR NEW HERO」って書いてあるの、最高だよね(笑)。誰が作ったんだろう……。俺、洋服はダメですけど、モノを見るのはけっこう好きなんですよ。ハードオフとか、そっちのディグは好き。かわいい灰皿だなーとか。そういう感覚で気になるものを選びました。
ヒロト
僕はわりと、普通に自分が着たいかどうかで選んでました。ゆるいものが好きで、セーターとか、けっこう可愛いのありましたよ。
森
ヒロトが選んだ服は基本アースカラーだよね。カーキとか。自然に溶け込む系男子。
ー
モジャさんはどうですか?
モジャ
質問、何でしたっけ……?
一同
(笑)。
ー
倉庫で古着をセレクトしてみての感想と、どういった基準で取捨選択していったかです(笑)。
モジャ
いつも桐生で4人で集まって遊んでいるのが、今日はたまたま東京のこの場所だっただけ、っていう感じでした。古着はパッと見で格好いいなって思えるものもありましたし、今の自分の気分に合ってるかどうかも、基準のひとつでした。現行品とミックスして今っぽく着られるようなものとか、好きですね。
ー
ざっと眺めてみると、第1弾である前回と比べて、状態のいいアイテムが多いようです。古着特有のヤレ感や、傷や汚れ、そのあたりがセレクトの基準になったりはしませんでしたか?
森
俺、ヤレたものは絶対イヤっすね(笑)。
ヒロト
俺もけっこう避けちゃうかも。
モジャ
白は白のまま着たいですね……。
ー
なるほど、そういうメンツが集まっていたというわけですね(笑)。スポーツ系ブランドのものやアイテムも、わりと多い印象です。
森
俺は普段から着てるので、けっこう選んだかも。アディダスとかウィルソンのジャージ、ラコステのポロシャツなんかもありましたね。
ヒロト
あのデサントのTシャツとかも、バチバチのスポーツじゃん。「I LOVE BASEBALL」って書いてある(笑)。
森
このルコックのサイドラインパンツとか、謎に白のセミフレアで、今っぽいよね。ピコとか、2000年代のサーフ系とかも多かったなー。
ー
最後に、今日セレクトした古着を使って各々コーディネートを組んでもらいました。みなさんポイントを教えていただけますか?
森
70'sっぽいニットポロに、バギーシルエットの90'sデニム。そこにレオパードのスニーカーを合わせて。さりげなくニットポロとスニーカーの色が合ってます。
チョモ
フリースが欲しいと思ってたら、ちょうどいいのを誰かがセレクトしてくれてました。緑も好きだし、チノパンにも合うし。
モジャ
チャイニーズ・ファンシー・マフィア。
ヒロト
コーディネートに迷ってたところ、森が渡してくれたネルシャツがばっちりハマりました。ブランドは、90'sのスポーツブランド「PLENTY TOUGH SPORT」です。
illmatic sense vol.2
開催期間:2021年10月23日(土)〜31日(日)
会場:BE AT STUDIO HARAJUKU
住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿6F
さまざまなカルチャー情報を発信するメディア、BE AT TOKYOサポートのもと 、東京・ラフォーレ原宿6Fにオープンしたコミュニティスペース・BE AT STUDIO HARAJUKUが手掛ける新たなプロジェクト「illmatic sence」。
その名の通り「ヤバいセンス」を意味する本企画は、BE AT TOKYOが注目するスタイリストやミュージシャン、デザイナー、ショップオーナーを軸に、それぞれの視点から古着をセレクトし、それを展示・販売するというもの。
第2回目のセレクターは、群馬県桐生市を拠点に音楽活動を行う「どんぐりず」と、その仲間たち。今回は“スポーツ”をコンセプトに、厳選した200点以上の古着が、期間限定でBE AT STUDIO HARAJUKUに並ぶ。乞うご期待!
ARTIST
どんぐりず
群馬県桐生市を拠点に音楽活動を行う2人組。幼なじみ同士で中学より音楽活動をスタート。2020年春、ビクターエンタテインメントCONNECTUNEに所属、同年8月に発表した「マインド魂」がApple Musicの「2020年ベストソング100」に選出。翌年にはApple Musicが国内の将来有望な新人アーティストを紹介するプロジェクト「Up Next Japan」の第一弾アーティストに選出される。音源、映像、アートワークに至るまでセルフプロデュースを一貫、ウィットにあふれるグルーヴィーかつディープなサウンドで、中毒者を増やし続けている。2021~22年にかけては、ジャンルの異なる4作のEP”4EP”の発表に向け鋭意制作中。『4EP1』は「Dance」、『4EP2』は「Indie pop」の作品としてリリースされた。
Instagram:@dongurizu
https://dongurizu.com
オンラインとリアルの双方向でコンテンツを発信するコミュニティスペース(〜2023.3.31)