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TOKYO LOCALS

文京区 / BUNKYO

日々の暮らしと文京区

2021.07.15

Text:NISH

千駄木に見つけた文房具屋さん

雨が降る中、細い路地を歩いていると、ふとひとつの店に行き当たった。

“STATIONERY GOODS”と書いてある。入ってみることにした。

決して耳ざわりでない控えめな音量でジャズが流れる店内はそれほど広くないが、そこかしこに文具が並んでいる。ちょうどメモ帳を切らしていた僕は、ライフ社のメモを手に取る。

よくよく見ていると、他のところではあまり見ないような、ちょっと洒落た文房具が並んでいるように感じた。ちょうど僕の他にお客さんもいなかったので、カウンターにいらっしゃった店主さんと思しき人に声をかけてみた。

並べられている商品に何かこだわりを感じるのですが、と伺うと、まず一番に「東京にあるメーカーさんのものを選んで置いているんです」とのこと。思わず、おお、と感嘆してしまった。実は東京って文房具の生産地という面があって、特徴的なものも多いんです、と話を聞いた。

例えばこれは、アメリカのPALOMINOという会社が、かつて自社で作っていた高級鉛筆を復刻させたものだが、実はその製造は東京・葛飾にある会社が行っているらしい。自分がこの鉛筆を作っているわけでもまったくないが、アメリカの会社のものづくりを葛飾の会社が担っていると聞くと、なんだか嬉しくなる。

他にも、こんなものも目についたので、つい手を伸ばしてしまった。

夏っぽくていい。このポストカードとマスキングテープは、文京区も含まれる谷根千エリアを拠点に活動されていた、ますこえりさんという方が作られているらしく、このお店「GOAT」とのコラボ商品もあるようだ。絵のタッチが柔らかくて気に入ってしまい、自分の家にピンナップとして貼ってある。

このお店、以前は古道具屋だったようだが、その運営をしていた方にお子さんができて一度仕事から離れることになり、今は友人である私がここを引き継いで文房具屋をやっているんです、と店主さんは仰っていた。

そのご友人の方は少しずつ古道具屋の商売も再開されていらっしゃるようで、店内の一角には小さく古道具コーナーがあった。普段はあまり見慣れない柄に、昔の東京の人はこんな文房具を使っていたのか、という思いになる。

いろいろお話しを聞いていると、海外には日本の文具が好きな人もおり、以前はそういったファンも海を超えて来てくれていたんですけどね、と。コロナ禍によってダメージを受けている業界があるとニュースで何度も聞くよりも、今自分がいるお店に影響が及んでいると一度聞く方が、見えない影をより濃く感じる、そんな瞬間だった。

ひとしきり店主さんとお話しをしながら会計を済ませ、また来ますね、と言って僕はお店を出た。

なんだか、これまで自分が触れてこなかった東京という街の文化のひとつと接点を持ったような、そんな1日だった。

今回はそんな感じです。また、次回。

※今回出会った文房具屋さん「GOAT」のリンクはこちらから↓
website:http://goat-shop.com/info/
Twitter:https://twitter.com/stationeryGOAT
Instagram:https://www.instagram.com/goat_bungu/

書き手

NISH

決して他の人には言わないけど、文房具へのちょっとしたこだわりを持っている人とか、無機質な部屋にかわいらしげなポストカードがぽつんとあったりするような感じの人が好きです。

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