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BE AT TOKYO LIVE STREAMING Vol. 1

音楽とファンとのディスタンスが紡いだ、BE AT TOKYO LIVE STREAMING Vol. 1を振り返る。

2021.02.05

2020年10月に始動した「BE AT TOKYO(ビー アット トーキョー)」。

そのスタートとともに開催されたVol.0に続き、2020年12月28日に「BE AT TOKYO LIVE STREAMING vol.1」が開催された。場所は、宇川直宏率いるライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「S/U/P/E/R DOMMUNE」。

まず、イベントを振り返る前に、「BE AT TOKYO」について今一度説明しておこう。これは、東京から新たなクリエイター(表現者)を生み出すための、メディアとユーザーがオンラインとオフラインで混じり合うことを目的とした、ユーザー参加型プラットフォームである。

決まったフォーマットやカテゴリを設けず、時には情報を発信するメディアとして、才能が集まるスタジオとして、実験を繰り返すラボとして、届けるためのショップとして、テクノロジーを使ってトランスフォームしながら、すべてのストーリーを紡いでいく。今後も新たなパートナーを増やしながら活動を広げていく予定で、1月末にはサイトのアップデートが控えている。

「BE AT TOKYO LIVE STREAMING vol.1」に出演してくれたのは、以下の面々。

LIVE:THE ALEXX × Takahiro Miyashita
LIVE:WONK
DJ:JQ (Nulbarich)
DJ:Daigo Sakuragi (D.A.N.)
DJ:Forest Swords(NINJA TUNE)
MOVIE:NINJA TUNE × Sasquatchfabrix.
VJ:DEVICEGIRLS
LIVE STREAMING:宇川直宏(DOMMUNE)

「BE AT TOKYO」のコンセプトのひとつである、“フォーマットやカテゴリを設けない”という言葉そのままに、バンド、DJ、VJといったさまざまな形態のアーティストがその創造性を発揮した。

vol.0の、若い音楽アーティスト中心のラインアップに比べて、vol.1は、「BE AT TOKYO」が掲げる3つのミッション「発掘・掛け算・物語」を体現するために、音楽とファッション(THE ALEXX × Takahiro Miyashita、NINJA TUNE × Sasquatchfabrix.)を掛け合わせ、さらに第一線で活躍しているアーティストにも参加してもらうことで、「BE AT TOKYO」の幅の広さを表現した。それでは、出演者順にその模様をレポートしていこう。

NINJA TUNE × Sasquatchfabrix. DJ:Forest Swords(NINJA TUNE)

一番手は、イギリスの超重要レーベル・NINJA TUNEに所属するアーティスト・Forest Swords。来春にリリースを予定している、NINJA TUNEと〈Sasquatchfabrix.〉のカプセルコレクションに先駆け、今回のイベントのためにリバプールで収録した特別映像を配信した。Forest Swordsが着ている衣装が、まさにそのカプセルコレクションの一部である。

Krikor Kouchian「Slow Riddim」、Tsuzing「Esther」、Andy Stott「Science & Industry」など、テクノ、ハウス、エレクトロニカを巧みに織り交ぜ、享楽的なダンスとも一味違う幽玄なリズムを感じさせたDJプレイは、スクリーン越しの多くの視聴者にもしっかりと届いたのではないだろうか。

LIVE:WONK

お次は、エクスペリメンタル・ソウルバンドことWONK。この日は、全体的にゆったりとした、深夜を思わせるようなロマンティックな曲調で展開するものの、随所に魅せる職人技が一曲一曲を引き締めていた。例えば、一曲目「Incomplete」に続く「Feelin’ You (Y.N.K.)」では、ドラム荒田による激しいソロプレイが炸裂。

そして、途中からスペシャルゲストとしてMatzuda Hiromuが加わり、トーキングモジュレーターによる無機質な声がグルーヴ感をプラス。脳幹が痺れるようなしっとりしたWONKを堪能するひとときだった。

DJ:JQ (Nulbarich)

JQ (Nulbarich)は、バンド形態ではなく、この日はDJプレイを披露。拠点をロサンゼルスへと移したというJQがセレクトしたのは、90年代のヒップホップ。Dilated Peoples「Pay Attention」、Black Sheep「Without A Doubt」、Common「Resurrection」といった、ジャジーなトラックの名曲ばかり。

先日訃報が舞い込んできた、アンダーグラウンド・ヒップホップシーンのカリスマ、MF Doomの曲もあったりと、Nulbarichの曲とも相通じ、普段からこういう曲を聴いているんだろうなと思わせるような安定感抜群のプレイだった。

LIVE:THE ALEXX × Takahiro Miyashita

4番目には、tonton (Vocal)、筒井朋哉 (Guitar)、杉浦英治(Programing)による3ピースバンド・THE ALEXXが登場。このバンドは、SUGIURUMNこと杉浦の声がけで結成。ギターの筒井は、元Electric Glass Balloonで杉浦と同じ出自を持ち、ボーカリストのtontonはSUGIURUMNの数々の作品にも参加してきたシンガーという、3人とも気心の知れたメンバーで構成されている。そんな関係性のメンバーだが、繰り出す音楽はトリップ感と中毒性の溢れるダークなもの。

オープニングは、Takahiro Miyashitaが手がけた映像からスタート。荒野の中をヘルメットをかぶった人物が歩いていくという、どこか近未来感に溢れたクールな世界観が印象的だった。また、メンバーが着用している衣装も、スタイリングを含めすべてTakahiro Miyashitaがディレクションしている。

肝心の音はというと、長年のキャリアを持つメンバーらしい、ひとつのジャンルに収まらない奥行きと幅広さが見事で、ニューウェーブ、ダブ、トリップホップといった様々な要素を持つトラックに、筒井によるポップとサイケデリック感が絶妙なギター、tontonの妖艶な歌声、クリスタルボウルやテルミニといったユニークな楽器の音色で曲を彩っていた。

ちなみに、本来であれば開催されていたはずの大きな音楽フェスへの出演が決まっていたらしく、実現していれば大きな話題になっていたはず。そんなスケールの大きなこのバンドをスクリーン越しに楽しんだ視聴者は少なくないだろう。

DJ:Daigo Sakuragi (D.A.N.)

最後は、DJとしてのDaigo Sakuragi(D.A.N.)。バンド形態のD.A.N.が持つ、冷たい激情ともいうようなトリップホップ、ブリストルサウンドとは違う、よりアッパーで狂乱的なUKガラージからジャングルへとつなぐプレイだった。かけていたのは、DiSKOP「Jumbled」、Anz「Gary Mission」、Acero「Clara!」など。

普段のD.A.N.とも違うテンションのこの夜のプレイリストについて聞いてみたところ、「今年のさまざまなものを払拭する意味もあって、こういう曲調のものをかけた」とのこと。確かにコロナに苦しめられた2020年の厄払いという意味でも、この祝祭的なDJプレイは、最後を締めくくるにふさわしいものだった。

後年、コロナの年として記憶されるであろう2020年。音楽を愛するファンが、ライブやイベントと距離を置かざるを得なかったこの年の最後に開催された、スクリーン越しの「BE AT TOKYO LIVE STREAMING Vol. 1」は、まさに2020年を象徴するものだった。

いつかみんなでもう一度集まって、音楽を楽しめる日が来ますように。そしてその時まで音楽をはじめとしたカルチャーが死んでしまわないように。そんなことを祈りたくなる、師走のイベントだった。

BE AT TOKYO LIVE STREAMING vol.1
配信チャンネル:S/U/P/E/R DOMMUNE
配信日時:2020年12月28日 ※配信終了

LIVE:THE ALEXX × Takahiro Miyashita
LIVE:WONK
DJ:JQ (Nulbarich)
DJ:Daigo Sakuragi (D.A.N.)
DJ:Forest Swords(NINJA TUNE)
MOVIE:NINJA TUNE × Sasquatchfabrix.
VJ:DEVICEGIRLS
LIVE STREAMING:宇川直宏(DOMMUNE)
https://www.dommune.com

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